SaaSの死を日本株で考える:サイボウズは売りか、拾いか

SaaSの死を日本株で考える記事のサムネイル。サイボウズなど国内SaaS銘柄をAI時代に選別する内容。

「SaaS is dead」という言葉が、米国のソフトウェア株売りの文脈で語られるようになりました。背景にあるのはAIエージェントです。AIが人間の代わりに業務をこなすなら、社員1人につき1ライセンスを売るSaaSモデルは崩れるのではないか。これが今、投資家が警戒しているポイントです。

ただ、私はSaaS全体が死ぬとは思っていません。死ぬ可能性があるのは、「単機能」「単なる画面」「単なる席課金」に近いSaaSです。逆に、業務データとワークフローの中心に入り込んでいるSaaSは、AIによって再評価される可能性があります。

目次

SaaSの死とは、席課金モデルの死

AI時代に見たいのは、「SaaSかどうか」ではありません。重要なのは、AIによって顧客単価が上がる会社か、席数が減って売上が削られる会社かです。

  • 単機能ツールは、AIエージェントやMicrosoft・Googleの標準機能に飲み込まれやすい。
  • チャット、タスク管理、簡単なワークフローは、席課金の前提が揺らぎやすい。
  • 一方で、会計、請求、法務、権限管理、監査ログのような業務の中核にあるSaaSは残りやすい。
  • AIを単なる機能追加ではなく、新しい課金や利用量増に変えられるかが分岐点になる。

日本株で見るなら、サイボウズが象徴的

この視点で日本株を見ると、まず面白いのがサイボウズ(4776)です。主力のkintoneは、単なる業務アプリではありません。現場が自分たちで業務アプリを作り、データを貯め、権限管理し、運用していくためのプラットフォームです。

AIによって簡単なアプリが作れるようになると、普通のSaaSには逆風になります。しかしkintoneの場合は逆に、「AIで業務アプリを作る場所」として価値が増す可能性があります。サイボウズはkintone AIを2026年6月から正式提供予定としており、検索AIやアプリ作成AIを組み込む方向です。

国内SaaS系の株価はどう動いているか

2026年5月18日時点で、国内SaaS・業務ソフト系の一部銘柄は年初来で売られています。ただし、下落率だけで「安い」と判断するのは危険です。AIで壊される下落なのか、AIを取り込む前の評価調整なのかを分けて見る必要があります。PERも、会社予想が出ていない銘柄は直近本決算のEPSから実績PERを試算して補助的に見ます。

銘柄年初来PER見方示唆
サイボウズ(4776)-13.2%14.69倍(予)kintoneがAI時代の業務基盤になれるか拾う候補
freee(4478)-26.2%93.7倍(実)AI会計は脅威でもあり追い風でもある小さく打診
マネーフォワード(3994)-13.3%140.8倍(実)会計・金融データの蓄積が強い分割して拾う
Sansan(4443)-23.3%271.7倍(実)Bill Oneは強いが、名刺管理単体は注意拾い候補
ラクス(3923)-20.1%11.70倍(予)バックオフィス業務に深く入り込む押し目候補
kubell(4448)-29.4%53.7倍(実)ビジネスチャット単体はAI・Teamsに弱い見送り寄り
プレイド(4165)-34.7%16.28倍(予)顧客データ基盤としての進化待ち投機枠
株価騰落率は2026年1月初営業日から2026年5月18日終値までの概算。PERの「予」はYahoo!ファイナンスの会社予想PER、「実」は2026年5月18日終値÷直近本決算の基本EPSで試算。

実績PERの計算に使ったEPSは、freeeが2025年6月期23.28円、マネーフォワードが2025年11月期28.78円、Sansanが2025年5月期4.92円、kubellが2025年12月期5.14円です。マネーフォワードは関係会社株式売却益などの影響で最終黒字化しているため、実績PERは割安判断というより「いまの株価を過去利益で割るとこの程度」という参考値として見ます。

買う、手放す、拾うの判断軸

SaaS銘柄を見るときは、売上成長率やPERだけでなく、AIでどちら側に回るかを見たいです。

  • 拾う候補:業務データ、権限管理、監査、決裁、請求、会計などに深く入り込んでいるSaaS。
  • 様子見:AI機能は出しているが、課金力や利用量増につながるかまだ見えないSaaS。
  • 手放す候補:単機能、席課金依存、チャットやタスク管理のように大手プラットフォームへ吸収されやすいSaaS。

結論:サイボウズは売りより、拾う候補

SaaSは死ぬのではなく、古い席課金SaaSが死ぬ。これが私の見方です。日本株でいえば、サイボウズは「売る銘柄」というより、AI時代に再評価される可能性がある銘柄として見ておきたいです。

もちろん、株価が下がったから即買いではありません。kintone AIがどれだけ利用されるか、単価や解約率にどう効くか、営業利益率をどこまで維持できるかを確認しながら、下落局面で少しずつ拾う銘柄だと思います。

参考:サイボウズ kintone AI発表Yahoo!ファイナンス サイボウズ(4776)、各社IR資料。本記事は投資判断の参考情報であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価、業績、サービス内容は変動するため、購入前には各社IRや証券会社の最新情報を必ず確認してください。

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この記事を書いた人

上場企業でサラリーマンをしながら、IT企業を経営しております。

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